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【解説】弘南鉄道で脱線 考えられる原因は?

time 2023/08/07

【解説】弘南鉄道で脱線 考えられる原因は?

8月6日、午前11時半頃に、青森県の弘南鉄道大鰐線の大鰐〜宿川原駅の間で2両編成の電車が脱線事故を起こしました。

どうやら7日までは、終日運休となっており、ニュースなどには出ていませんが、営業線での脱線事故ということで鉄道事故の調査委員会の者も派遣されることとなると思います。

ネットニュースによれば

現場は緩い右カーブで、大鰐駅から550メートル、宿川原駅から200メートルの地点。

との事で、私が感じたのは何年か前に発生した富山地方鉄道の脱線事故でした。



実際の現場の線路を見てみますと、外側には脱線した際に被害を抑えるための「安全レール」が設置されていると見られます。

枕木は普通の木枕木、そして疎らにPC枕木(白っぽい枕木)があります。

安全レールは脱線してしまってもそれ以上の被害を最小限にするためのレールで 都合上脱線防止ガードが設置できない場所に敷設されます 一部では逸脱防止レールと呼ばれているようですが、 国鉄の資料では安全レールとなっています。
落石や雪の多い地域では、隙間に落石や固結した雪がつまって 逆に脱線の原因になってしまうので、安全レールを線路の曲線外方に設置します。
ブログサイトレールエンヂニアリングより

ちなみに、富山地方鉄道の脱線事故現場にも事故当時、同様の安全レールが曲線の外側に設置されていました。

富山地鉄の脱線事故現場(過去の記事より)
富山地鉄の現在の脱線事故現場



尚、現在は安全レールは撤去されてその代わりに曲線の内側に脱線防止ガードが設置されています。

脱線の原因として、考えられることは、先程の富山地方鉄道の脱線記事を参照していただきたいのですが、可能性はその記事に書いてあるのと同じですが、富山地鉄の脱線原因が特定されている今、考えられるもうひとつの原因として、枕木の補修や点検ができていなかったことや、疎かになっていた可能性もあります。

富山地鉄の時には、当日PC枕木の箇所で脱線しましたが、レールを締結していたボルトが劣化しており、曲線を列車が通過する際の負荷に耐えきれずレールが広がり脱線しましたが、今回も現場は一部PC枕木を使用していたにも関わらず脱線しています。

置き石や、車両の台車の不具合、速度超過の可能性ももちろん考えられる可能性が高いものですが、状況的に、富山地鉄の脱線と非常に似たようなものがあり、明らかな乗務員のミス出ない限りその可能性が高いと思います。

現に、弘南鉄道では過去にも脱線事故を起こしており、

2019年は枕木やレールの接続状態の不良が連続し、レールの幅が広がる「軌間拡大」が事故を引き起こした。



過去には、上記のようなこともあったそうです。

それを防ぐために、地方の会社では自治体などの補助金も活用しながら木枕木とPC枕木を交互に設置したり、脱線防止ガードの設置、制限速度を設けたり、元の速度より制限速度を下げるなどの工夫がなされているそうです。

今回は乗客乗務員合わせて幸いなことにけが人はいませんでしたが、命に関わる重大事故には変わりないので原因を早急に見つけて今後そのような事故が発生しないようにして欲しいと願っています。

鉄道事故調査委員会→×

運輸安全委員会→○

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densei

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