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【解説】JR北陸本線でドアが開いたまま走行 なぜ?

time 2022/12/18

【解説】JR北陸本線でドアが開いたまま走行 なぜ?

こんにちは

今月の8日にJR西日本の北陸本線、福井県にある湯尾駅で列車がドアを開けたまま走行するということがありました。

JR西日本金沢支社によりますと、12月8日正午ごろ、南越前町にある北陸本線の湯尾駅で、敦賀発、福井行きの普通列車が、ホーム側のドアを開けたまま出発したということです。 列車は、傾斜によってそのまま6メートルほど進みましたが、安全装置が作動し加速しなかったことから、運転士がドアが開いたままなことに気づき、ドアを閉めて出発し直したということです。 列車は、運転士1人のワンマン運転で、50人ほどの乗客にけがなどはありませんでした。 運転士は、ドアの閉め忘れについて会社に報告せず、乗客から通報を受けた国土交通省中部運輸局がJR西日本に連絡をして会社が初めて事態を把握した。
福井新聞より



との事で、ドアが開いたまま列車が動いたにもかかわらず運転士は報告せずに、お客様からの通報によって、発覚したそうです。

まあ6mも動いたらさすがにお客様も不安を感じるでしょう。ネットニュースのコメントを見ると、「なぜドアが開いたままでも列車が動くようになっているのか?」「福知山線事故で全く反省していない」など結構厳しいコメントがありました。

ニュース記事にもありますが、ドアが開いたまま動いた理由は、まず運転士がドアの戸閉操作を失念したことが一番の理由です。列車が出発したという言葉で誤解する人もいるかと思いますが、正しくは勾配のある箇所でブレーキを緩解したことによって列車が流れる状況「流転」したためで、運転士は何も考えずにマスコンを操作し、発車しようとしたみたいですが、実際には流転のため勝手に動いたということです。車の運転操作で例えますと、下り坂でニュートラルにした状態でブレーキから足を離した状態です。記事の中には安全装置があって加速しなかったとありますが、この装置を「戸閉保安装置」等といいます。これがあれば、ドアが閉まって、車側灯が消灯し、運転席の運転士知らせ灯が点灯するまではマスコンを操作しても列車は絶対に動きません。ただし、この装置はオフにすることは可能ですので意図的にドアを開けたまま動かすことはできます。今回の場合は関係ないですが、運転士は運転士知らせ灯を確認していなかったということになります。また、調べたところ北陸線は年中列車のドアがお客様によるボタン操作(半自動)状態ですので、場合によっては運転席から近いドアが元からしまっていた状態だったのかもしれません。考えずらいですが、そのことで運転士がドアは閉まっているものだと思い込んだ可能性もあるかもしれません。

最後によくなかったのがこのことを報告しなかったことです。その結果、お客様により国へ連絡が行き、会社に伝わることとなりました。こういうことがあると、JR西日本はいまだに報告しずらい社風が残っているのでは?と誤解されても仕方ないのかなと思います。

ということで、今回の事故は運転士の完全なミスだったってことですね。



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