現役運転士による電車の知識と職場裏事情

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【解説】吉祥寺駅で線路に転落の人を救助 実際発生した場合の対処は

time 2022/06/05

【解説】吉祥寺駅で線路に転落の人を救助 実際発生した場合の対処は

5月4日の午後にJR吉祥寺駅で女性がホームから線路内へ転落するという事故がありました。その女性を救助したのは旅客の男性で列車は直前に運転士が目視で人がいるのを確認できたため、停車することが出来たため、接触事故にはいたりませんでした。

↓詳細のニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/e7e64aa866341a1cd12f945dbe151ebb53e301bd



この件で、救助した男性は非常に勇敢な行為をされ女性を助けることが出来ましたが、本来は危険な行為で罰せられるということは決してないのですが、現職の人間として出来ればやめて頂きたいと言うのが本音でした。

もちろんこの男性を批判することは決してあってはなりません。同じような状況に出会した場合はどのような対応を取ればいいか簡単に解説したいなと思います。

まず、人が転落したのを目撃した場合は近くの「非常押しボタン」を押してください。

駅構内や押すことによって列車が自動的に止まる仕組みの会社の場合は、ホームに入る前に列車が止まります。そう出ない場合も、運転士に停止を知らせる信号などが点灯し列車が非常停止します。

今回の件は、非常押しボタンが押されたかどうかは確認出来ませんでしたが、運転士が目視で確認して止まったと報道にあるので恐らく押さなかったのではいのかなと思います。

ちなみに、非常押しボタンについて安全性についてや、非常事態の声を聞いて押した際に誤報だった場合、押した人物が罰せられるのではないか?というコメントを見つけました。

まず、以下のツイートに関してですが



このツイートに関しては、JR東海の件はわからないのですが、私の勤める会社の場合も踏まえて言わせてもらうと、東急もそうですが、踏切の非常押しボタンを押した場合には、非常を知らせる「発光信号」というものが点灯します。JR西日本の場合は、押された場合最寄りの電車は自動停止するそうですが、私の会社では自動で止まりません。

発光信号

ということは、非常押しボタンを押されたとしても、運転士が「発光信号」を見落とした場合意味を成さないという事です。

実はどこの会社でいつ起きたかまでは詳しく書きませんが、発光信号見落としで障害物等と接触したという事故は全国でもたまに発生しています。

ですので完全に防ぐとすれば発光信号とATSを連動させれるようにしたり、自動で止まれるようにするしかないのかなと思います。

とはいえ、いくら自動で列車が止まる装置があったとて非常押しボタンを押さなければ列車は止まらないですし、押しても列車が来る直前だと急には止まれないので間に合わない可能性もあるのですけどね。

話は大きくズレましたが、非常押しボタンが無い場合があります。

近くにないパターンもあるかと思いますが、田舎のJRでは無い私鉄などでは非常押しボタンは着いていない可能性が高いです。

そういう場合は、近くに駅員がおればすぐに線路に人がいることを伝えます。

近くに駅員がいない、もしくは無人駅で列車がまだ来ないと思われる場合は、鉄道会社に連絡しましょう。いくら小さい駅だとしても連絡先が無いということはおそらくないかと思います。

もし列車が近づいている場合は、ホーム先端から大きく手を振ってください。赤い布などがあればそれを降ってください。

田舎の駅の場合、ホーム長が短い可能性がありますので可能ならホーム先端からの方が運転士から見やすいです。

ちなみに田舎の駅なら線路内に入って救助できると思われがちですが、列車の本数が極端に少なければ轢かれる可能性は低いかもしれませんが、万が一列車が来た場合、田舎の駅のホームには退避するスペースがない場合があります。というのも、昔からある駅の場合、ホームが石垣のような作りになっていてスペースが全くない可能性があります。



私から言わせてもらえばいかなる状況でも自分の命をまず優先にして欲しいので線路に降りないでほしいですが…

最後になりますが、以前どこかの記事でホームドアがあっても列車の接触事故は完全に防げないと書いた気がしますが、それは乗り越える人や自分から飛び込む人に対してはそうなのですが、今回の場合のような体調不良でふらついて落ちた場合はやはりホームドアはあった方がいいのかなと思います。故意に線路に入ろうと思わなければ絶対に落ちることは無いですからね。

ただ地方では100年経っても導入されない気がしましけど…難しい問題ですね。

最後に、誤報でも故意でなければ罰せられることは無いです。

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densei

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