2021/05/29

ツイッターで少し騒がれたのですが、私のように現役の運転士さんでブログをしている方の記事で列車の免許は更新制で、クレペリンを受けて受からないと取り消しになる…と言う表現の記事が出ておりました。
私記事の中まではちゃんと見ては無いのですが、この題名通りのことであれば、この新幹線運転士を名乗る方は間違ったことを配信していることになります。
私の引用RTを見ていただいた方はわかるかと思いますが、鉄道の免許、正式には「動力車操縦者免許」と言いますが、その免許には更新というものは無く、一度取れば永久に使うことができます。ですので中年になっても免許証の写真は若いままなんて当たり前です笑
ただし、3年を超えない期間に一度適性検査を受けなければならず、その適性検査に「クレペリン検査」というものがあります。
この検査に落ちてしまい、運転士としての適性がないと判断された場合は、列車を運転することが出来なくなります。ですが、あくまで会社からの指示で出来なくなるだけで免許が取り消しになるという訳ではありません。
しかし、あまり知られていませんが、鉄道の免許には車の道路交通法のように、どのような行為や運転をしたらどういう処分を下すかという決まりがはっきりと定められています。
動力車操縦者運転免許の取消等の基準についてという内容でまとめられていまして、一番最近の改正は令和元年10月という事で結構最近ですよね。

の基準
上の図のように、違反行為の内容と、それに伴う死傷者などの被害の大きさによって運転免許の停止期間が変わったり、免許取り消し等の処分を受けるという事になっています。ちなみに車の免許のように点数などは無いですが、例えばいわゆる在来線の電車を運転するための甲種電気車の免許と路面電車を運転するための乙種電気車の免許を複数種類持っている場合、乙種と甲種では運転の環境など大きく変わりますが、取り消し基準の第9条には、
「複数の種類の運転免許を受けている者に対して行政処分等を行う場合は、その者が受けているすべての種類の運転免許について行う。」
とあります。ですので例えば新幹線の運転士さんが速度超過が原因により死亡者を出した事故を発生させた場合は、仮に内燃車や電気車などの新幹線以外の免許を持っていた場合、全ての免許が取り消しになると言うことです。
あまり鉄道でそのような取り消しになる例はあまり聞いたことは無いですが、車で例えるなら、トラックで飲酒運転をしたからと言って、大型免許だけ取り消されて無傷という訳では無いのと似たようなことかなと思います。
さて、このように鉄道の免許も細かく行政の処分が定められているという事を紹介しました。恐らく皆さんが鉄道事故(乗務員に過失がある場合の)の報道を見た時には、「あぁもう運転できないな」などその運転士に対して思うかもしれませんが、運転を降ろされたり、会社を解雇するのはあくまで会社内の処分であって、それだけなら動力車操縦者免許には何ら影響はなく、鉄道を運転できる会社に転職すればまた運転することができるようになります。
しかし、大きな事故を起こすと会社の処分だけでなく、免許の取り消しを含む厳しい行政処分が待っているという事です。
最後になりますが、鉄道の免許証である「動力車操縦者免許」には、更新期限や有効期限はありません。
しかし、運転士による過失事故など起こした場合は、社内処分だけでなく、免許の使用停止や取り消しなどの行政処分が下る可能性があります。
適性検査は、定期的にあるものの、落ちた場合に免許証が向こうになることはありません。しかし、会社の判断で運転は出来なくなるという事を紹介しました。
何度も言いますが、あのツイートは正しいものではないですので。