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伊予鉄道の横河原線で脱線事故発生 考えられる原因は?

time 2022/02/15

伊予鉄道の横河原線で脱線事故発生 考えられる原因は?

みなさんこんにちは

2月7日、伊予鉄道の横河原線、見奈良駅付近で3両編成の電車が脱線するという事故が発生しました。



この路線は、伊予鉄道の所謂郊外線と言われている路線で軌道線と鉄道線がある内の鉄道線の箇所になります。

ニュースの記事の写真を見ますと先頭車両の進行方向で言えば1番前(運転席側)の台車全てが脱線しているように見えます。

上の写真はGoogleマップで見た見奈良駅付近の写真です。脱線があったと思われる箇所の転轍機は、発条転轍機という所謂スプリングポイントと呼ばれる転轍機で、通常時は定位になっていますが、反位側から電車が出る時は、転轍機のポイントを割って出ていき、列車の通過後にバネの力で定位に戻るというものです。

これは単線の路線に多く使われていると思うのですが、この駅の場合は、上りホームと下りホームが決まっていて入る番線の変更がないために使用されていたのかと思います。ちなみに、普通の手動の転轍機との違いは、転轍機に白い文字でSと書いてあれば発条転轍機です。

転轍機を動かして定位から反位にする場合は、転轍機本体のラッチを解除すれば手動で動かすことが出来ます。(普段は鍵がついています)



さて、何故この発条転轍機で脱線したか…考えられる理由ですが、

・転轍機が不密着だった

・何らかの理由で軌間が広かった

・台車の問題

・置き石など障害物があった

・制限速度を大幅に超えていた

くらいかなと思います。

この中で可能性がかなり低いのは、「転轍機の不密着」かと思います。転轍機が不密着ですと、私もすごく仕組みに詳しい訳では無いので上手く理屈を説明できませんが、場内信号が現示しません。ずっと赤信号のままです。数ミリ空いているだけで現示しないくらいですので、不密着で信号の内方に入ることは、信号を無視して、ATSを動作させないようにしない限りは考えられないと思います。

当然ATSを解放した上で侵入したというのであれば話は変わってきますが…

後の可能性はある程度の起きる原因の元さえあれば可能性はあるかと思います。

軌間が列車の通過時に広がって脱線した例というのは近年で言えば熊本電鉄や富山地方鉄道であったかと思いますが、線路の整備が追いついていない(富山地方鉄道の例)などが原因で整備が後回しになった結果脱線に繋がったという可能性もあります。あくまで憶測に過ぎないですけど。

台車の問題は、亀裂が入ってたとか脱線になるような不具合があったなど…具体的な例は知りませんが可能性のひとつとしてあると思います。

置き石や障害物の可能性も否定はできません。まだ脱線事故の原因は発表されていませんが、置き石の場合はレールと車輪に置き石による傷が着きますし、近くには車輪に踏まれたとわかる石も落ちているかと思います。列車には大体ドライブレコーダーみたいなカメラが着いていますのでそういう映像を見ても落ちていたか判断できるかと思います。



後は速度が大幅に超えていた可能性です。まあ大幅に超えていたらもっと大きな事故になっていると思いますのでないと思いますが、起きてしまう条件みたいなことで説明しますと…単線田舎の鉄道線では場内信号機から駅のホーム手前まではATS地上子がない場合が多いです。大手の大きい路線はわかりませんが…場内信号機で減速、もしくは速度照査のATSをクリアした後に再度加速して侵入するという事も行けないことですが恐らく出来るでしょう。何故ならば地上子がなければ列車が止まることがないので。もちろんATS以外の保安装置があれば別ですが。

ちなみに今回の事故現場の通過速度が何km/hかはわかりませんが、転轍機だけを見ると恐らく25〜30km/h以下くらいでは無いのかなと思います。鎖錠などがあるなどの条件があっても早くて45km/h以下かと思います。

他にも可能性はあるのかもしれません。実際には線路のことは乗務員より保線で働いておられる方の方が詳しいのですが、過去の事例などを踏まえて記事にしました。原因の決めつけの記事ではないので参考程度に…

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densei

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