2021/05/29

静岡県を走行中の新幹線の運転士が席を離れた件で、JR東海の社長が「言いづらい体制を改善したい」とコメントをしたとニュースで見ました。
とても大事なことですし、やはり生理現象というのはどういう状況でも起こりえる可能性があります。
ここで、このニュースに関して下記のコメントがありました。
「JR西の尼崎脱線事故も、直前でやってしまったオーバーランで会社に怒られる(日勤におろされる)のが不安で、結局あの大事故につながってしまった、という経緯があります。
もちろんオーバーランと生理現象はちがいますが、JR(特に東海と西)はわずかな遅れにも敏感になっていると感じます。
そして遅らせた原因のある乗務員に対して厳しい罰則を設けているので、運転士に対するプレッシャーは過大すぎるものです。
ほんとうに良い会社は、一分一秒でも遅れのない会社ではなく、現場と管理者がものが言いやすい会社だと思います。」
いや、待ってまだこんなこと言う人いるんか?って思いました。
以前、福知山線脱線事故についての記事を出しました。
ここにも私の考えを書きましたが、そもそも運転士がオーバーランが許されると言うのが間違えで、オーバーランは事故なんです。脱線事故の件では確かに日勤教育というパワハラに近いと言われる教育が行われていたと聞いています。ですが、日勤教育だって、何らかの事故に繋がるようなミスをして行われていたもの。言っておきますが、今でもミスをすれば研修所送りです。プライドがズタズタになるという意見もありますが、プライドを保護できるような研修なんてありません。事故を起こしたらそりゃ初心に帰って、基礎を見直す。それは当然のことだと思います。
だから脱線事故の件は、ミスを言いやすい環境も大事かも知れませんが、そもそも何度も事故を繰り返した乗務員を乗務させないという厳しい判断も必要だったと思います。
もちろん乗務員1人だけが悪いとは100%言えないにしても、乗務員は会社からのプレッシャーがあった。可哀想。仕方ない。では済まないでしょう?じゃあ運転士みんなそんなことに脅えてるのか?そんな訳ありません。
確かに結果的にJRの教育に関して見直される結果にはなりました。速度の監視装置やATSの整備など安全に関する装置も各社で事故以前よりよりたくさん設置されるようにもなりました。結果的にはよかったですが、でも速度オーバーしてATSなどの装置で非常停止しました、お客さんが転倒して怪我をした。報告すると乗務を降ろされる、怖い。ってなったら結局何も変わらない。でも乗務を降ろす判断は間違えではない。
結局その人の行い次第だと思うんですよね。
新幹線の件も乗務員はとても危険なことをしました。
やってしまったら、福知山線脱線事故と同じくらい危険なレベルのことですよ。
ですが、こういう行為に至る前に報告をすれば事故にはならないという点では福知山線脱線事故と今回のトイレの件は別物です。
福知山線脱線事故は「ミスでオーバーランを起こした」
新幹線の件は「トイレに行きたい」
仮にどちらも言いやすい環境になったとします。
でもオーバーランの件でいえば、乗務を降ろされる場合もあるでしょう。報告した、だから未然に大きな事故は防げた。とはならないんですよね。
そして最後に、やはり命を預かる仕事だから厳しく会社が言うのは当然です。多少の遅延は脱線事故以前よりあまり厳しく言われなくなりました。しかし、オーバーラン等についてはやはり事故として見る会社は多いと思います。
そもそも乗務員としてどんな時にでも落ち着いて冷静な判断が必要です。もちろん人間だから完璧な人なんていないかもしれませんが、そういう判断が要らないと判断すれば、事故の時やお客さんが怪我をした時など、適切な判断が出来ない人が何故乗務員をやってるんだと言われるでしょう。それだけ誰でも出来る仕事ではないと私は思っています。