2021/05/29

今日は京急線のトラック衝突脱線事故から一年が経つそうで、特に記事にする気もなかったのですが、Twitter上で、誰が悪い、誰に過失があったかということが話題となっていましたので、ネットニュース等しか参考にできませんでしたが、今わかる情報の中から私個人の考えも含め事故について検証してみました。
・事故の概要
昨年令和元年9月5日午前11時40分ごろ発生。踏切内で立ち往生していたトラックに快特列車が衝突した。トラックの男性運転手(67)が死亡、乗客や運転士ら計35人が負傷した。というものでした。
・事故防止としてどのような設備があったのか?
ネット記事でしか知り得なかったのですが、踏切の一定の距離ごとに、運転士に踏切の異常を知らせる「発光信号」三カ所、踏切内の障害を検知する障害物検知装置のセンサーがあり、センサーが動作した時点で発光信号が現示するというものでした。ここで、列車を自動で止める装置はなかったのか?と、いうことや、その設備が整っていないことを鉄道会社の不備という意見がありましたが、そのような装置は大手でもすべての箇所に整備されているわけではなく、そもそもそこそこの本数が通過する地方の鉄道会社でもそういう設備も、ましてやセンサーだってない会社は結構あります。確かにあればいいのかもしれませんが、設置にはお金や、様々なシステムを導入しなければならないので簡単には整備できないのでしょう。
・運転士は発光信号を見ていたか?
当初、京急電鉄は、踏切の600m手前から発光信号が認識でき、衝突は防げたと言っておりました。しかし後に、目視では認識できないと、訂正しました。運転士は発光信号の現示を確認後、直ぐにブレーキを取ったそうですが、心理的理由もあるかと思いますが、直ぐに非常制動をとらず、常用(おそらく最大)でとった後、非常制動に切り替えたと証言しているそうです。ですので、見える位置からブレーキをとった、ということで見ていたということになります。
・非常制動をとっていたら衝突は防げたか?
当初の情報と違い、600m手前から確認することはできなかったそうで、計算はしていないですけどおそらく無理だったのではないかと思います。そもそも電車と言うのは非常位置にとってすぐブレーキが利くわけではないのです。まず、N位置、あるいはノッチを入れてたとすればその位置から非常位置まで取るまでの時間、そしてすぐにぎゅっと制輪子が車輪にくるわけでもなく、非常制動は空制ということもあり、若干じわっと時間差ができるので、そのわずかな時間(空走距離)を考えると、確認してすぐとっても間に合う可能性は低かった。さらに前述で述べた通り、最初に衝動によるお客様のけがなどの心配をしたのか、非常制動に恐怖を感じたのかわかりませんが、常用ブレーキを使用してるみたいですので、なおさら衝突を回避できた可能性は低かったでしょう。
・運転士に責任はあるのか?
もし、発光信号の確認が遅れ、被害を拡大させた場合は、社内で処分が出たり、国土交通省の運輸局などから、鉄道の免許の制限(数か月使用できなくなったり)する処分が出る可能性がありますが、今回はブレーキを取ったタイミングはよくてもその対処が悪いとみられた場合は、法律違反にはなりませんが、会社内では何らかの注意なり、再始動があるかもしれません。
・トラックの運転手に過失はあるか?
現に自動車運転処罰法違反の疑いでトラックの会社を家宅捜索しているそうですが、基本的に、踏切の遮断桿が正常に下りている状況であれば、過失はトラックにあります。ですが今回は立ち往生。遮断桿に突っ込んだわけではなかったです。立ち往生している中で、もしトラックから降りる時間があって、非常押し釦を押すことができればまた、過失の度合いが変わっていたかもしれません。どっちみち、踏切の装置が故障していない限りは、基本的に車側が悪いということにはなるかと思いますが・・・
・ドラックと電車の運転士、どちらが悪いかについて
まず、分けて考えましょう。どちらが悪かったという考えは間違いです。メディアはなぜか電車側の運転士を攻めてますが・・・ そもそもトラックも立ち往生しなければこのようにならなかった。トラックには過失になる要素はあった。 運転士は安全のため適切な運転操作をしなければなりません。場合によっては、緊急時ほど冷静な判断が必要です。確かに非常制動をとれば衝動でお客様の店頭もあったかもしれませんが、発光信号が出ていれば悪戯でも非常が絶対だと思っております。仮に今回のように衝突の可能性があった場合、ブレーキの強さや衝動云々は考えてはいけない、まず最も安全で命が救えるほうを選ばなければいけません。それを運転士の過失かどうか決めるのは私ではないので何とも言えませんが、運転士も人間だから~では済まないのも事実であります。また会社側も、見えるはずの距離から見えない箇所に信号を設置したのもよくなかったでしょう。認識してなかったのはだめなことだと思います。ですので結果的にトラックの運転手もよくなかった。ですが、事故を未然に防ぐ側も正しい判断や設備の設置が必要です。一概にこの人だけが悪いとは言えませんが・・・ ただこういう言い方はよくありませんが、これがなければ信号の目視できる距離の間違えにも気づけなかったことでしょう。何かあって気付くのはよくないことですが、これからの安全の向上につながればと思います。
一応私個人の見解で特別イロイロ調べまくったわけでもないので参考程度で見ていただければと思います。