2021/05/29

みなさんこんにちは!今日は運転中あったヒヤリハットを紹介しようと思います。
まず、ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、「ヒヤリ」「ハッ」とした経験のことです。そしてヒヤリハットがあった際に提出するのがヒヤリハット報告書というものです。「ヒヤリハット報告書」とは、こうした経験を集め、情報共有することで、事故防止の対策を立てるための報告書です。
ヒヤリハット報告書は上記のように結果的に事故にはいたらなかった情報ですので、基本的に事故報告書とは別に扱われ、会社にもよりますが多くの会社ではヒヤリハットの報告による処分などはありません。
では運転士のヒヤリハットの事例を紹介します。こちらでは国土交通省が出している情報をもとに紹介していきます。
・出庫準備時に、運輸司令所から3分繰り上げて発車する旨の通告があったので、車内電話で車掌にも通告した後、起動試験を実施しようとしたところ、「手歯止使用中」札が掲出されていたので、手歯止めを取り外していないことに気づいた。
・場内信号機が架線と重なり信号喚呼位置標から信号現示が確認しにくかったため、中継信号機の新設又は信号喚呼位置標の移転を提案した。
・ 雪の日、前方の信号機に、雪の重さで垂れた木の枝が掛かり、信号機の現示が確認しにくかった。
・警報機・遮断器が設置されている踏切通過時に、歩行者が直前を横断した。
・ 対向列車の列車種別を見ていたところ、自列車の種別を失念してしまった。
・列車種別と駅停車の有無について考えていたところ、雨が降っていることを失念し、駅手前の下り勾配において、通常の制動開始地点より手前で制動を開始するべきところ、ワイパーの動作が目に入ったため、その時初めて雨の影響に気づき、手前での制動に間に合った。
・駅に停車させる時、西日のため見えにくく、信号現示を注視していたことから、通常の停止ブレーキの使用開始位置を過ぎてからブレーキ操作を行ったため、停止位置を数メートル行き過ぎて停止した。
・駅停車時に数メートル過走してしまい、停車位置に戻すため後退したが、気が動転しており、方向切り替え器を「後」から「前」に切り替えずに、ノッチを入れようとした。
・点呼時に工事による徐行個所の情報を確認していたが、列車の遅延を気にしていたところ、工事個所での徐行を忘れてしまったが、直前で気づいた。
・駅にて停車中、前方踏み切りを支障している乗用車を発見したため、列車防護発報を操作しようとした瞬間、乗用車がバックし支障が解消し、ホッとしてノッチを投入しようとしたところ、添乗者から「車掌からの発車ブザーがまだ」と指摘され、発車を中止した。
・終着駅にて折り返し機器扱いをしている際、お客様よりの問い合わせがあり、対応していたところ、時計を運転台に置いたまま、運転台を離れた。
・前方の入換信号機を見た際、進行を指示する現示であったため、急いで席を移動し、指差呼称を行おうとしたが、入換信号機は停止現示であり、自分が最初に確認した進行現示を示していたのは一つ先の入換信号機であった。
と言うように、うっかり忘れでのミスや、あともう一歩で大事故に繋がるものなどヒヤリハットの中身は様々ですが、事故を防ぐため、事故の1歩手前の例も報告されています。
私自身もヒヤリハットの経験はいくつかあり、その原因は集中力の低下や、運転以外のことに気が散っていた、普段と違う動作をしていたためにいつもの作業が抜けてしまったなど理由は様々です。
さすがに、事故や責任の問われるミスは私もしたことありませんが、車掌の出発合図ブザーがなる前にノッチを入れそうになったことや、車掌スイッチで開いている運転台のドラムスイッチを前にしそうになるなど、数は多くはありませんが、ヒヤリハットは誰しも1度は経験しているはずです。
ただ、乗務員の場合、睡眠時間が短いことや業務の疲労からヒヤリハットを招きがちです。乗務員の労働の改善次第では防げると思います。実際に、事故を起こした理由として、眠かった、ぼーっとしていたなど理由はさほど特別なものはありません。
どの仕事でもミスというのは人間ならば起こしてはしまうものかもしれませんが、仕事柄我々鉄道員はそのひとつのミスが大きな事故につながりかねない、そしてその責任は会社だけでなく、起こしてしまった個人にも問われるので、常に気を張って仕事をしていかないと行けません。